米研究所で声帯組織の培養に成功

声帯組織を実験室で培養することに成功したとの研究成果を米国の研究チームが18日発表した。この成果は、ガンや他の病気で声を失った数百万人の声を取り戻す日が来る可能性を示すものだ。
米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」に掲載された研究論文によると、研究はまだ初期段階にあるというが、培養された声帯組織は、遺伝子操作によりヒトに似た免疫系を持たせたマウスの体内で約3ヶ月にわたりその形態を維持することができたという。また、死んだ犬の体から摘出した無傷の喉頭に移植すると、音声振動を生成したそうだ。
研究を主導した米ウィスコンシン大学マディソン校の音声言語病理学者、ネイサン・ウェルハム氏によると、声帯は「非常に精巧なシステムで、再現が困難」であるため今回の成果は大きな意味を持つという。
論文によると、声帯組織は繊維芽細胞と上皮細胞として知られる正常な再体細胞を用いて生物工学的に作られたとのこと。培養には2週間を要したとされる。再体細胞は研究と関係のない理由で外科患者から除去したものだった。
声帯細胞は分離・精製された後、実験室で人工皮膚が培養される時に用いられるような三次元構造のコラーゲンの足場材料に幡手された。培養すると、声帯細胞は「一般的な声帯粘膜の構造とタンパク質構成に酷似した層に集積した」という。
このような培養組織がそれを必要としている人々に広く提供されるのはまだ先の話だが、今回の研究は、声帯の機能不全がある人々にとっては明るいニュースとなりうると研究チームは述べている。声帯機能不全の患者数は米国だけでも2000万人以上にもぼり、現時点では有効な治療法も存在していない。
喉頭がんなどで声帯を失う人も多い。そうした人々が再び声を取り戻すことができるようになれば素晴らしい。